移住者インタビュー

移住するなら現役のうちに。

COLLECTERS INTERVIEW#004

株式会社menotte代表

松石 優美子さん

出身地:長崎県佐世保市(Iターン)
移住年:2012年9月
職 業:ファッションデザイナー

1974 年生まれ。大学卒業後、アパレルメーカー3社で経験を積み独立。
2005 年オリジナルブランド「DearDevil」を設立。パーティ用ヘッドドレスを中心としたハイファッションアイテムの企画からデザインの制作を行う。仕上げた商品は、都内のセレクトショップで販売するほか、シーズンごとに開催する展示会で顧客から直接オーダーを受け、受注生産も行う。

動くなら現役のうち。大人のIターン。

 松石さんは2005年、女性向けアパレルブランド「Dear Devil」を立ち上げ、現在は姉妹ブランド「Dear Devil mini」も展開中。ふだん使いのヘアアクセサリーからパーティやデートシーンに合う華やかなヘッドドレス、バッグ、アクセサリーなど、「美しくありたい」と願う女性に応えるアイテムをデザインしています。
 学生時代から住んでいた東京を離れ、十和田市に移り住んだのは2012年。夫の出身地・六戸町に近く、都市の利便性も兼ね備えていたことがIターンの決め手でした。
 「主人は長男で、結婚した時から『いつか戻ろう』と言ってはいました。でも東日本大震災があって、大事な時に家族のそばにいられないのは良くない、今がその(移住の)時だなと。リタイアしてからでも遅くないって言う人もいたけれど、60代まで東京で暮らしてからじゃ地域に溶け込みにくくなると考えました。生活を変えるなら現役の今のうちだと」
 インターネットの普及や交通アクセス向上で「東京じゃなくてもいいかな」と感じ始めていたこともあり、迷いはなかったという松石さん。とはいえ生き馬の目を抜くファッション業界、仕事面のダメージはなかったのでしょうか?
 「もともと自宅を事務所にしていたので、生活はそれほど変わっていないですね。海外とはスカイプ、国内の人とは電話とメールでやりとりして、今のところ支障はありません。月に1度は都内に出張しますが、新幹線があるから移動時間もさしてかからない。フロム東京だろうが十和田だろうが、ネット環境があれば海外とも一瞬でつながりますから」

デザインで地元NPOとタッグ。

 松石さんの1日は、コーヒーを飲みながらのメールチェックで始まります。工場に発注しておいた商品は午前中に着くことが多いので、午前中は荷物の確認作業に追われます。その間、同時に洗濯などの家事もこなして昼食。昼食後はショップや顧客に商品を出荷し、その後は買い物、料理など家事の時間に充てます。「ホームパーティが大好き」と話す松石さんの料理の腕前は玄人はだし。レパートリーはイタリアンや和食など多岐にわたり、移住後は、より丁寧に料理を楽しむようになったといいます。
「飲みに行く機会は減りましたが、その分よく“おうちレストラン”を開くようになりました。近所のスーパーで最高の食材が手に入るって幸せですよね。おいしいものがたくさんあるから、パッケージをちょっと変えて対外的にPRするのもいいんじゃないかな」
 実は、松石さんの仕事は自社商品のデザインにとどまりません。OEM(相手先ブランド製造)やイベント企画・プロデュース、誌面・パッケージデザインも手がけています。2015年には十和田市内のNPO法人が運営する「ハピたのかふぇ」からの依頼を受け、カフェのショップカードやパンフレット、ドレッシングのパッケージをデザインしました。
 「子育て支援への思いを持ってやってらっしゃる方々なので、ヒアリングとイメージのすり合わせに半年ぐらい時間をかけましたね。根本的なところから一緒に考えて、結果としていいものになったと思います。ブランディングも含めた総合的なデザインを、これからも提供していければ」
 ドレッシングの好評を受け、新商品の開発とパッケージデザインも進んでいます。

仕事とライフスタイルが移住のカギ。

 温泉を愛してやまない松石さん。クールで洗練された雰囲気とは裏腹に、整備された温泉施設よりも野趣な秘湯が好みだといいます。銭湯から高級リゾートまで揃う十和田地域の温泉は東京の友人にも大好評で、「ハマッて毎年来る人もいますよ。最初は定番、徐々にディープな温泉に案内します(笑)」とか。
官庁街の桜もお気に入りです。約1.1kmの通りに156本もの桜が咲き誇るさまは「ほかの街では感じたことのない美しさですね」と瞳を輝かせます。
しかし一方で移住となると、現実的な課題もやはり感じています。
 「私の場合は、東京で出来上がっていた仕事を持ってきたからスムーズに移住できたのかな。パソコン1台でできる仕事を持っているなら、住環境はいいので『すぐ来れば?』と言えますが。また私は車の運転をしないので、自転車で移動できる範囲に何でも揃っているのもポイントでした」
市街地と周辺地域でまったく異なった表情を見せる十和田。ライフスタイルに合った場所を選ぶことで、松石さんは充実した後半生を手に入れました。

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